キュービクルを導入すると何が変わるのか?

キュービクルを導入すると電気代が安くなると言われていますが、本当に安くなるのでしょうか?
安くなるとしても、「安くなるかわりに○○なリスクがあります」「○○なデメリットがあります」等で結局キュービクルを導入することが得になるのかどうか分からないと思っている人もいるでしょう。
キュービクルの導入を考えている場合、その辺りは気になる点になると思いますので、それらの点も含めて順を追って確認していきたいと思います。

キュービクルを導入する必要性が出るのはどんな場合?

電気の契約には、低圧受電契約と高圧受電契約があって、使用電力量の少ない一般家庭では低圧受電契約となりますが、低圧受電契約は1か月の利用電力が50kWまでと決まっています。
50kW以上の電力を使う場合は高圧受電契約を結ぶことになります。
高圧受電契約を結ぶと送られてくる電力が6,600Vにもなりますので、そのままでは利用が出来ないためキュービクルを導入する必要性が出てきます。
キュービクル導入を検討している事業者は、この辺りのことはすでにご存知だと思いますので、事項から本題に入っていきます。

高圧受電契約 小口(50〜499kW)と大口(500〜1999kW)があり、小口は使用した電気量に寄って基本料金が決まり、大口は電力会社との協議に寄る
電気量料金は低め
低圧受電契約 電気量料金は高め

※他に2000kW以上の特別高圧受電契約あり。年間電気代は数億円以上になる。

キュービクル導入の初期費用はどれくらい?

キュービクルには小型のものから大型のものまであって、小型のものなら200万円くらい、大型のものだと500万円以上にもなります。
かなりの金額です。
ただ、これは新品のキュービクルをそのまま購入した場合であって、初期費用を下げる方法はいくつかありますので順番に見ていきましょう。

補助金・助成金を利用する

キュービクル導入で補助金などを利用することができれば、初期費用を抑えることが可能になります。
補助率が1/3以内や2/3以内など補助金によって違いがありますが、負担額が半分以下になる場合もあります。

キュービクル導入に利用できる補助金の一例

○先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(経済産業省)
○中小企業等に対するエネルギー利用最適化推進事業費補助金(経済産業省)
○工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(環境省)

レンタルやリースを利用する

レンタルやリースを利用することでも初期費用を抑えることが可能です。
ただ、条件があったりお得感が無くなる場合がありますので、注意が必要です。

レンタル 試用期間が数ヶ月ほどならオススメ(月額10万円を超える場合もある)。途中解約可能。最短1か月の契約可。
リース 10年以上使わないのであればお得(リース料+維持費用)。途中解約不可。

中古品や再生品を購入する

中古品は文字通り中古のキュービクルとなりますが、再生品は一部の再生品以外は新品となりますので新品同様品といった方がいいかもしれません。

キュービクルを導入するメリット

電気代の単価(コスト)を下げることができる

キュービクルを導入するメリットは電気代を下げることができることであり、導入するのもこれが最大の理由となるでしょう。
「安全性が高い」「品質が高い」「設置が簡単(工期が短い)」などのメリットとして上げられるものもありますが、これらがキュービクル導入の直接的な理由になることはほぼ無いのではないでしょうか。

キュービクル導入することで起こり得るリスク(デメリット)

キュービクルを導入することで起こる可能性のリスクがいくつかあります。
可能性は高くはありませんが、重大なリスクもあるので、導入する前にしっかりと把握しておきましょう。

キュービクルの漏電

キュービクルの漏電は、感電、火災などのキュービクル事故の原因につながります。
さらに電力の損失(余計な電気代消費)にもなりますので、見逃すことがあってはならないものです。
漏電の原因には、水漏れ・雨漏り、各機器の劣化、コードの破損、小動物の侵入(電線をかじる)などがあり、そのほとんどがキュービクルの老朽化に起因しています。

キュービクルの火災事故

キュービクルが火災を起こすと電気が使えなくなため、様々な不都合が生じます。
工場・・・操業停止
病院・・・人命危機、手術不可、各機器使用不可
金融機関・・・ATM利用不可
商業施設・・・営業停止、エレベーター閉じ込め

キュービクルの感電事故

キュービクルの老朽化により筐体に隙間や穴が空くと、そこから小動物(ヘビ、ヤモリ、ネズミ、鳥など)が侵入し、感電事故が起こります。
時には、定期点検の作業員が感電事故を起こしてしまうこともあります。
感電事故が起こることで考えられる損失
・火災
・停電
・接続機器の破損

キュービクル その他の注意点

キュービクルの耐用年数

耐用年数画像

キュービクルの耐用年数は15年とか、長くても20年とかいう話を見聞きすることもありますが、使用用途や製造会社、機種によっても変わってきます。

さらに、キュービクルに使われている各機器にも耐用年数というものがあるので、単純にキュービクルの耐用年数は○年ですと言うことは難しいです。

ちなみに、キュービクル内の各機器の耐用年数は以下のとおりです。

変圧器(トランス) 法定耐用年数 15年 実用耐用年数 20年

ヒューズ(屋内用) 法定耐用年数 15年 実用耐用年数 15年

ヒューズ(屋外用) 法定耐用年数 10年 実用耐用年数 10年

遮断器(VCB) 法定耐用年数 15年 実用耐用年数 20年

高圧気中負荷開閉器(PAS) 法定耐用年数 15年 実用耐用年数 20年

コンデンサ(SC) 法定耐用年数 15年 実用耐用年数 15年

避雷器(LA) 法定耐用年数15年 実用耐用年数 15年

ここに記載したのは一部ですが、このように機器によって10〜20年と差が出てきます。

耐用年数には法定耐用年数実用耐用年数の2種類あって、法定耐用年数は実用耐用年数よりも短くなる場合が多いです。

これは、法定耐用年数というのが、あくまで税務上の概念であり、資産としての耐用年数を表しているに過ぎないからです。

古いキュービクルを使用するデメリット

10年前のエアコンと現代のエアコンでは消費電力や電気代が違うように、キュービクルも年々進化を続けています。

2014年にトップランナー制度の改定もあったことから、それ以降のキュービクルは効率が良くなり使用できる電力量もアップし、電気代も節約できるようになっています。

キュービクルの故障率が、耐用年数を超えれば超えるだけ上昇するのは言うまでもありません。

キュービクルの保安点検

保安点検画像

キュービクルの保安点検は法定点検で、月に一度若しくは隔月で実施する月次点検と、年に一度実施する年次点検義務付けられています。

月次点検は電気を停止せずに受電設備や負荷設備の点検を行い、反対に年次点検では電気を停止して月次点検では点検しない所を中心に、より詳しい点検を行います。
キュービクルに遠隔監視装置を取り付けることによって、月に一回の月次点検を隔月点検にすることが可能となり、点検コストを抑えることも出来ます。

まとめ

キュービクル導入は電気代のコストを下げることが出来るという最大のメリットがある反面、初期費用が高いというデメリットがあります。
それも、「補助金・助成金を使う」「レンタル・リースを利用する」「中古品・再生品を購入する」などの初期費用を下げる方法があるので、これらを実践することで初期費用が高いというデメリットの解消は可能になります。
ただ、レンタルやリースは注意点があるので、事前に確認が必要です。
キュービクル導入後も、漏電・火災・感電などの事故リスクがありますが、事故原因は老朽化によるところが大きいので、日頃の法定点検をきちんと行う、耐用年数を超えたキュービクルをいつまでも使い続けない等を心がけていれば、そこまで恐れることはありません。