感染症 予防と対策
誰でも出来る感染予防(感染症対策)
感染症は、他の一般的な病気と同じく予防をして掛からないことが一番です。
感染予防の3原則
感染が成立するには、「感染源」「感染経路」「感受性宿主」という3つの要因が揃わなければなりません。
感染源の排除
病原体に感染した人や病原体が含まれた嘔吐物や排泄物、病原体に汚染された食品などに近づかない、触れないことが感染源の排除に繋がります。
感染経路の遮断
病原体を持ち込まない、持ち込ませないことで感染経路を遮断できます。
免疫力の向上
「感受性宿主」とは、免疫力が低下し感染症になりやすい人のことです。
免疫力を高めることが出来れば、感染しても免疫力で発症させない、軽症で済ませることも可能になってきます。
免疫力を高めるには、栄養バランスの取れた食事、規則正しい生活習慣、十分な睡眠、適度な運動、心身のリフレッシュ(ストレス解消)を心掛けましょう。
その他の具体的な感染症の予防法
手洗い
効果的な手洗いには適切なタイミングというものがあります。
手洗いを行うタイミング
- 感染の恐れがあるものに触れたとき
- 手袋を外したとき
- 食事の準備をするとき
- 出勤時、退勤時、休憩前後
- 自身の食事前
- 排泄後
- 清掃後
手洗い時の注意点
- 手指を流水で十分に濡らす
- 手指全体を丁寧に擦り合わせる
- 手指の高さを腕の部分より低くし、指先から水が落ちるように流水で十分にすすぐ
- 手洗い後は両手の水分を十分に拭き取り乾燥させる
手荒れ防止対策
手が荒れていると皮膚の荒れた部分にブドウ球菌等が定着したり免疫機能が低下したりして感染リクスが高まります。
- 手洗い後はよく拭いて乾燥させ、ハンドクリームやハンドローション等でケアをする
- 細菌汚染の原因になるため、ハンドクリーム等の共有は控えましょう
- 手洗い時に消毒液を使用する場合は、皮膚への刺激が少なく、保湿成分含有の製品を選びましょう
うがい
うがいは手洗いと一緒に行うといいでしょう。
うがいをすると、口腔内のウイルスや細菌を洗い流し感染症の予防になります。
うがいの手順
- 水分を口に含み、ブクブクと口の中をゆすぎ、吐き出します
- 再び水分を口に含み、上を向いて喉の奥に水分を落としガラガラと15秒ほどうがいして吐き出します
- ②を数回繰り返します
マスク
マスク着用の目的
主にマスク着用者が病原体を拡散させないために着用します。
また、マスクの網の目を通過しない病原体から守る目的もあります。
マスク着用の注意点
- 自分の顔のサイズに合ったマスクを着用する
- マスクの裏表を間違わないように正しく着用する(説明書き等を確認)
- マスクと顔の間に隙間ができないように着用する
- マスクは濡れるとフィルターが詰まり効果が激減するので、その場合は新しいものに交換する
- マスクを外す時は、病原体が付着している可能性のあるマスク表面には触れないようにする
- マスクを外した後は、手洗いや消毒をする
感染経路を断つ
接触感染
直接的、あるいは器具等を介して間接的に接触しての感染。
ウイルスが付着した場所を手で触っても、その手で口や鼻や目を触らなければ感染はしません。
予防は、手洗い(流水で15秒流すだけで100万個のウイルスが1万個に減少する)・手指消毒。
また、マスクをしていると顔を直接触る頻度が格段に減るので接触感染の予防効果があります。
主な病原体:黄色ブドウ球菌、イボ、大腸菌O-157、出血熱ウイルス
飛沫感染
咳・くしゃみ等で飛散する唾液等によっての感染。
予防は、うがいとマスクの着用。テーブル等に付着した飛沫を触って感染することもあるので、手洗い・手指消毒も重要。
主な病原体:髄膜炎菌、インフルエンザ菌、百日咳菌、マイコプラズマ、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス
空気感染
感染者が咳やくしゃみをして飛ばした飛沫の水分が蒸発すると飛沫核という微粒子になる。この微粒子は長時間に渡って空気中を浮遊し、広く拡散される。この微粒子を吸い込むことによっての感染。
予防は、換気と医療用マスク(N95マスク)着用。
主な病原体:結核菌、水痘ウイルス、麻疹ウイルス
一般媒介物感染
汚染された食物、水、薬、器具によって媒介されての感染。
予防は、加熱や消毒。
主な病原体:食中毒菌、病原性大腸菌、コレラ菌、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、赤痢アメーバ
節足動物媒介感染
蚊、ハエ、ダニ、ノミ、シラミによって媒介され感染。
予防は、昆虫駆除と防虫剤使用。
主な病原体:日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、リケッチア、マラリア、フィラリア、リーシュマニア、トリパノソーマ
母子感染(垂直感染)
妊娠中の胎盤を通しての胎児への感染。
主な病原体:成人T細胞白血病ウイルス、B型肝炎ウイルス、エイズウイルス、風疹ウイルス、梅毒トレポネーマ、トキソプラズマ
経皮感染
病原体が皮膚を通過しての感染。
予防することは困難。
主な病原体:鉤虫、糞線虫、住血吸虫
血液媒介感染
輸血等によっての感染。
主な病原体:B型・C型肝炎ウイルス、エイズウイルス
ワクチン接種
人は感染症にかかることで体内に抗体ができ、病原体に対する免疫が出来ます。
ワクチンは、この免疫という仕組みを利用する感染症の予防法です。
定期接種
「集団予防を目的とする感染症」
■Hib(ヒブ)ワクチン
■小児用肺炎球菌ワクチン
■B型肝炎ワクチン
■4種混合ワクチン
■BCG
■MR(麻疹風疹混合)ワクチン
■水痘ワクチン
■日本脳炎ワクチン
「個人予防を目的とする感染症」
■HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
■インフルエンザワクチン
■成人用肺炎球菌ワクチン
任意接種
■ロタウイルスワクチン
■おたふく風邪ワクチン
■インフルエンザワクチン
■A型肝炎ワクチン
■髄膜炎菌ワクチン
細菌には抗生物質
抗生物質は細菌にしか効果が無いため、ウイルス性の病気(風邪など)には効果はありません。
紛らわしいのは、咳・鼻水・熱が出るなど風邪のような症状の細菌による感染症もあることです。
風邪の症状で治りが悪い時は病院で見てもらうといいかもしれません。
細菌による感染症だった場合は抗生物質を飲むとウソみたいに症状が改善していきます。
ワクチンの無い病原体
ワクチンの無い病原体は多く、マラリア、エイズウイルス、C型肝炎ウイルス、梅毒、ハンセン病にワクチンは無く、結核予防のワクチンであるBCGは子供にしか効果はありません。