オゾンで臭いを消臭・脱臭
においとは
自分の目で見たものしか信用しないという人でも、「見る」ことの出来ない「におい」の存在を信用しない人はいないのではないでしょうか。
では、「におい」とは一体何なのでしょう。
においの種類
「におい」には多くの種類があり、現状ではその分類方法も定まっていません。
一般的には、漢字の使い分けによってにおいは分類されています。
人が不快に感じる「におい」は「臭い」、心地よい「におい」は「匂い」を使います。
また、「におい」を文字変換しようとすると「香」が予測変換に出てくることもあり、上品なにおい=香りというのも一般的と言えるでしょう。
においの要素
世の中に200万種類以上の物質が存在している中で、「におい」のある物質というのはそのうちの20万〜40万種類と言われていますが、「におい」の物質の構造(メカニズム)は今だに解明されていません。
色には三原色(赤、青、緑)、音には三要素(強弱、大小、音色)などがありますが、そのようなものがにおいにはありません。
そのように、よく分かっていない「におい」ですが、その中でも人が不快に感じる「臭い」を排除することは出来るのでしょうか。
オゾンによる消臭・脱臭
オゾンとは
オゾンは、太陽の紫外線や雷の放電などによって生成されます。
微量ですが、空気中にも存在しています。
自然界に存在するオゾンは都市部では約0.005ppm、海岸では約0.05ppmが空気中に含まれています。
日本産業衛生学会では0.1ppmを労働環境下での許容濃度と定めています。
工業的には、無声放電、電気分解、紫外線照射などで濃度の高いオゾンを発生させることが可能です。
オゾンによる脱臭
オゾンには強力な酸化力があり、その酸化力によって臭気物質を酸化分解(破壊)して脱臭できることが分かっています。
酸化破壊後は、酸素だけが残ることになるので、オゾン脱臭をした場所の空気はとても新鮮です。
オゾン生成方法
無声放電式
無声放電式には、体積放電法と沿面放電法があります。
体積放電法
2つの電極間にガラス等の誘電体を介し、交流高電圧をかけた時に発生する放電現象を利用したオゾンを発生させる方法
沿面放電法
電極を絶縁体で覆い、絶縁体の表面に電極を設置し、電極間に高電圧をかけ絶縁体表面に放電を起こしオゾンを発生させる方法
安価で容易に作れることから沿面放電法のオゾン生成器幅広く使われています。
電気分解式
高分子電解質膜を電極間に挟んで水の電気分解を行うことによってオゾンを発生させます。
通常の水の電気分解では酸素と水素が発生しオゾンはほとんど発生しませんが、陽極に二酸化鉛を用いることで陽極側で高濃度のオゾンを発生させることが出来るようになります。
紫外線式
酸素を含んだ空気に紫外線を照射することでオゾンを発生させます。
オゾンの発生効率や発生量は多くありません。
オゾン脱臭のメリット
安全性が高い
許容濃度を超えない濃度のオゾンであれば、極めて安全に不快な臭いを取り除くことが可能です。
オゾンは数時間で酸素に戻るため、残留性もありません。
除菌効果
オゾンには強い酸化作用があるため、ウイルスや細菌を不活化し除菌・殺菌します。
花粉不活化
オゾンはウイルスや細菌だけでなく花粉も不活化するため、花粉症対策としても有効です。
ダニ忌避
ダニはオゾンを苦手としているため、オゾンのある空間に住み着いたり繁殖することはありません。
オゾン脱臭のデメリット
オゾン特有のにおいがある
せっかく脱臭しても、オゾンには特有のにおいがあるため、オゾンのにおいが苦手な人には脱臭の意味をあまり感じられないかもしれません。
オゾンの濃度によっては人体に害がある
オゾン暴露による人体への影響は、以下のように公表されています。
0.01〜0.02ppm:多少の臭気を覚える(やがて馴れる)。
0.1ppm:明らかな臭気があり、鼻や喉に刺激を感ずる。
0.2〜0.5ppm:3〜6時間暴露で視覚を低下する。
0.5ppm:明らかに上部気道に刺激を感ずる。
1〜2ppm:2時間暴露で頭痛・胸部痛・上部気道の渇きと咳が起こり、暴露を繰り返せば慢性中毒にかかる。
5〜10ppm:脈拍増加・体痛・麻酔症状が現れ、暴露が続けば肺水腫を招く。
15〜20ppm:小動物は2週間以内に死亡する。
50ppm:人間は1時間で生命危険となる。
引用元:杉光英俊「オゾンの基礎と応用」
初期投資に費用がかかる
オゾン発生器には、Amazonなどで販売しているコンパクトタイプの数千円のものから、広い室内空間で使用する数十万円のものまであるので、広い空間で使うものですと初期投資の費用も多くなります。
においによっては消えにくいものがある
オゾンはどんなにおいも脱臭できる訳ではなく、以下のような脱臭効果の低いにおいもあります。
まとめ
世の中には、20〜40万種類もの「におい」のある物質があると言われていますが、そのメカニズムは今だに解明されていません。
ですが、オゾンには強力な酸化力があり、その酸化力によって臭気物質を脱臭できることが分かっています。
脱臭後は、酸素だけが残るので脱臭場所の空気は新鮮であり、仮に脱臭が行われなくてもオゾンは数時間で酸素に戻るため、とても安全な脱臭方法と言えます。
「オゾン特有のにおいがある」「初期費用が掛かる」などのデメリットはありますが、デメリットを許容でき、使用するオゾン濃度さえ間違わなければ(オゾン生成器にはオゾン濃度の記載があるはずですので、間違いが起こる可能性はよほど無いとは思いますが)、有効かつ安全に臭気を脱臭してくれることでしょう。